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日本史を学ぶ

高校2年生になると、社会科で選択授業を取り入れているところも多いことでしょう。
世界史、日本史、地理、現代社会・・・とあるようですが、ここは各人の興味がわかれるところですし、
現実的には受験で点数がとり易い科目という基準で選択する場合も多々あるでしょう。

個人的な感想でいえば、受験で何を選択するかは、受験が終わってしまえば、一部の向学心あふれる人たちを
除いて、その後の人生にはあまり影響を及ぼしません。
つまり、世界史を選ぼうが、日本史を選ぼうが、地理を選ぼうが、世のサラリーマン、OL諸氏にとっては、
それが生かされることのほうが少ないといえるわけです。

私は、世界史を選択しましたが、当時勉強した内容と、今興味をもって本を読んだりする内容は
全く異質のものに感じますし、一から新たに勉強しているような状態です(高校の先生ごめんなさい)。

ですので、ここで私が言いたいのは、受験でこの科目を選べ!という話ではなく、どちらかといえば実社会に出て
主に企業で働いている方々にとって、今日本史を学ぶことは、自分が企業の中で生き抜く上で、または人生を充実させる
ために、血となり肉となる大変有益なことだということなのです。
つまり、シンプルにいってしまうと、「日本史は社会で役立つ!」ということです。


今まで、私はどちらかといえば、日本史を敬遠してきた部類でした。
興味は世界史にありましたし、世界の動きに比べると日本の歴史はなんとなく底浅く感じてしまっていたのです。
その考え方を大きく覆すことになったのは、たまたま手に取った司馬遼太郎の「国盗り物語」を読んでからでした。

私同様、日本史に疎い方のために少し解説すると、国盗り物語の舞台は、織田信長が活躍する少し前、
美濃の斉藤道三が産声を上げた辺りから始まります。
ご存知のように、織田信長は天下に武名を轟かせた武将ですが、一夜にして天下人になったわけではありません。
斉藤道三→織田信長→豊臣秀吉という激動の戦乱の時代に、彼らがいかに力を蓄え、国を広げ、支配を確実にしていったかを
克明に描いたのが、この本なのです。
しかも、私が思うに、その主人公は信長でも秀吉でもなく、信長の命を奪った明智光秀であったのです。
力が強いからというだけで生きていけるほど易しい時代ではなかったこのころ、彼ら武将がいかに考え、策を練り、
実行し、生き抜いていったかを、まるで今の時代の人物であるかのごとくに描写しています。
私はこの本で、司馬遼太郎に、そして日本の歴史に引きずり込まれていったのです。

読み物として捉えれば、単に面白い歴史物といわれる本はたくさんあるでしょう。
しかし、社会人、企業人にとっては、それを「面白い」だけで終わらせるのはもったいない話です。
一つの時代やテーマにたくさんのページを割けない教科書ではなく、歴史の要所要所にスポットを当てた
歴史小説を読むことによって、その時々の背景、心境、策謀などが明らかになります。

つまり、読み手があたかも一人の武将や歴史上の人物になったようなものです。
今自分に与えられている環境は、列強との力関係は、今後の見通しは・・といった条件を考え合わせ、
生き抜くために採るべき策を決め、そしてそれが最大限の効果を生むような方法で実行に移します。
目先のことばかりではなく、先を読まなければいけません。
兵の戦意を高揚させ、普段の倍の力が出せるようにしむけることも必要です。

これは、企業にそのまま当てはまりませんか?
ひしめく競合企業、個性豊かな部下たち、管理職たち、揺れるマーケット・・・少し言葉を換えると
そのまま現代社会にも当てはめることができます。
世の経営者たちが、好んで歴史小説を読むのもこういった共通点が多いからです。

「歴史に学ぶ」とはよく言ったもので、先人たちの足跡をたどると、自分が目標とすべき人、好きな人というのが
自然と見つかるようになります。また、イメージだけでいいなぁと思っていた人が実はとんでもないやつだったりと、
実態が見極められるようになり方向修正も出来るようになります。
自分のお気に入りの人物を探す旅(読書の旅)にでかけてみるのもよいでしょう。

歴史小説には多様なジャンルがあります。
有名な先人にスポットを当てたものが多いでしょうが、市井の人々を取り上げた素朴で悲しみにあふれた作品もあります。
支配層の側から読んだ物を、今度は被支配層の側から読んでみる、というのは企業統治の上でもとても大切なことです。

人は、権力を持つと変わっていきます。
必要に迫られて変わる場合と傲慢さが芽生えて変わる場合があります。
後者の場合、周りに意見する人がいてくれないと裸の王様一直線です。
そんな時に、例えば藤沢周平の庶民を題材とした歴史物を読むようなことは、常に謙虚な自分でいられるように
するためにも有効な手段だと思います。

大河ドラマに少し興味を持てるようになった・・・私にとっては、歴史を勉強しはじめたことでの成果の一つです。
(今までは、大河ドラマのロケ地を訪ねていく人たちの気持ちはさっぱりわかりませんでした・・)